カテゴリ:建築関連 / 投稿日付:2025/06/27 18:00
コートハウス ライブバージョン
☆コートハウスとは?
コートハウスとは、建物や塀に囲まれた中庭のある住宅。外空間でありながらプライバシーが守られ、開放的な暮らしが望め、BBQやプール、ヨガなど用途もさまざまで、家族の憩いの場として利用可能。自然光や風を室内に取り入れやすく、都市部でも自然とのつながりを感じられる住まいとして人気。
☆コートハウスの種類
◆ロの字型

ロの字型は住宅の中心に中庭を設置し、建物で四方を囲うレイアウト。中庭に面する部屋にそれぞれ窓を設ければ目も届きやすく、小さな子どもやペットを安全に遊ばせることができ、外部からの視線を遮ることができるため、完全なプライベート空間をつくることができ、プライバシーや防犯面を重視したい方におすすめ。
◆コの字型

コの字型は三方向を建物で囲い、一方向を開放したレイアウト。プライバシー面やメンテナンス面のバランスがよいのが特徴。中庭に面する室内に自然光や外気をたっぷりと取り込め、外とのつながりを感じながらも安心感のある空間が生まれ、子育て世帯やペットとの暮らしにも適してます。
◆L字型

L字型は、建物がアルファベットの「L」のような形をしたレイアウトで、もっとも開放的。間取りの柔軟性が高く、敷地条件も緩いため取り入れやすく、他の型に比べるとオープンですが、塀や植栽で目隠しすることができ、建物の角や壁が少なくコストを抑えやすいのも魅力。
☆コートハウスのメリット
◆住宅街でもプライバシーを確保できる
コートハウスは建物や塀に囲まれた設計のため、外部からの視線を気にする必要がなく、住宅街でもプライバシーを確保。タイプによってはまったく外から見えない、完全なプライベート空間にすることも可能。
◆半屋外空間により開放感がある
中庭を設けることで半屋外空間が生まれ、家の中にいながら開放感を味わえ、中庭と室内の床をフラットにすれば、広さをより感じられ、視線が外へ抜けることで圧迫感が軽減され、日々の暮らしにゆとりと心地よさをもたらしてくれる。
◆採光性・通風性に優れている
コートハウスは住宅の内側にも窓を増やせるため、採光性や通風性に優れて、住宅密集地といった隣家との距離が近い場合も、採光や通風を確保しやすい。日中は照明に頼らなくても自然光で明るく、風の流れも生まれるため、心地よく快適な室内環境を実現でき、省エネにつながるのも一つのメリット。
◆防犯性が高まる
中庭は外から見えにくい構造のため、プライバシーを守りながら住宅の防犯性向上が期待でき、夜間でも外から在宅かが分かりにくく、不在時の不安も軽減され、人目を気にせずに洗濯物を干せるのもうれしいポイント。子どもが安全に遊べるスペースとしても活用でき、安心感のある住まいが実現。
◆周辺環境の変化の影響を受けにくくなる
コートハウスは建物が敷地の内部に面しているため、周辺環境の変化による日当たりや風通しの悪化の影響を受けにくく、外部との接点が少ない設計により、周囲の騒音も遮断されやすく、静かで落ち着いた暮らしができるのも魅力。視線や音のストレスが軽減されることで、家の中にいながらも穏やかで安心感のある空間を。
◆スペースの有効活用ができる
アウトドアリビングとして読書や食事、BBQ、子どもの遊び場と活用用途も多岐にわたり、ヨガやストレッチを楽しめる場所へと、使い方を広げることも可能。室内と緩やかにつなげることによって、家族が自然と集まるスペースへ。
☆コートハウスのデメリット
◆建築費用が高くなる
中庭を設けることで建物の形状に凹凸が生まれ、構造が複雑になるため、一般的に建設費用が高くなる傾向。さらに、中庭が広くなるほど、それに面する外壁や窓の面積も増えるため、資材や施工のコストが上がる点にも注意が必要。
断熱や防水といった性能面での配慮も求められるため、設計段階でしっかりと予算と機能性のバランスを検討することが大切。理想の住まいを実現するには、デザイン性だけでなく、予算との兼ね合いを見極めながら計画を進めることが重要。
◆メンテナンスの手間がかかる
中庭にウッドデッキを設置したり、シンボルツリーを植えたり、ウッドデッキは雨風や湿気で腐食しやすく、定期的な塗装や補修が必要。シンボルツリーは成長に伴って剪定(せんてい)や病害虫対策が求められ、手間がかかり、見た目の美しさや風情を楽しむ一方で、維持管理に費用と時間がかかる点も考慮することが大切。
◆家の耐震性・耐熱性が低下しやすくなる
採光性や通風性を高めるために大開口窓を設置すると、壁が少ない構造となり、どうしても耐震性が低くなり、地震や強風などの外的要因に対する安全性が確保しにくくなる可能性がある。そのため、鉄構造や耐震補強を施した住宅づくりを検討することが重要。
耐震性を強化することで、安全で長持ちする住まいを実現し、快適さと安心感を両立させられ、設計段階での慎重な計画が大切。
◆居住空間が狭くなる
中庭をつくることで、住居空間が狭くなる場合があり、十分な広さを保ちながらプライバシーや開放感も確保するためには、設計が重要。生活してから不便を感じないように、コートハウスの実績豊富な建築会社に依頼し、間取りや動線を工夫すること。
◆排水対策が必要になる
中庭は通常の庭に比べて、雨水がたまりやすいのが特徴。排水の流れが限定されるため、台風や集中豪雨時には水はけが悪くなり、床下浸水や建物へのダメージにつながる恐れがあり、勾配(こうばい)の確保や排水口の設置、透水性の高い素材の採用など、事前の排水対策をしっかり整えることが肝心。
☆コートハウス設計時に失敗しないためのポイント
◆耐震性・断熱性を高める
大開口窓のある家を建てる時は、耐震性や断熱性にも注意し、柱を入れることで耐震性は高められますが、耐震性の高い工法を採用すると断熱性が低くなりやすいというデメリットがあり、二重サッシの窓や樹脂製のサッシ枠を採用し、断熱カーテンを取り入れて、室内との温度差を和らげる対策を。
◆メンテナンスをしやすくする
コートハウスを設計する際は、日々のメンテナンスがしやすいように配慮することが大切。掃除がしやすい素材を選んだり、手入れしやすい動線を意識したりすることで負担を減らせ、中庭の水はけを確保し、湿気対策やカビの発生を防ぐ工夫も欠かせません。水場や収納スペースを設けるなど、将来の維持管理まで見据えた設計を心がける。
◆生活導線を考慮する
コートハウスは特殊な形のため、生活導線への配慮が不十分であると生活がしづらくなり、部屋同士が向き合うと家族間のプライバシーがなくなる恐れがあり、その点も考慮したい部分。ポイントとなるのが、家族でのライフスタイルをイメージしながら設計すること。水回りをまとめたり、回遊性のある間取りにしたりするなどのアイデアを取り入れて、快適な導線を。
◆隣家の窓との位置関係も考慮する
隣家の窓の位置関係を考慮することは、プライバシーを守るうえで非常に重要。隣家の窓から中庭が見えたり、視線が届いたりしないよう、中庭の配置や塀の高さ・素材を慎重に検討。通りからの視線にも配慮し、建物や塀の形状、植栽の配置などに工夫を凝らすことで外部の視線を自然に遮り、心地よく過ごせるプライベート空間をつくることができる。
◆排水対策をしっかりする
中庭に雨水や湿気がたまらないよう、排水対策をしっかりと整え、台風や昨今増えているゲリラ豪雨に備え、十分な水はけ対策を施すのも重要。これらはあとからの導入が難しく、設計段階で慎重に検討。太い排水管を設置したり、水はけのよい床材を採用したりと、予算に合わせて確認すること。
◆実績豊富な施工会社へ依頼する
コートハウス設計の経験が豊富な設計事務所や施工会社に依頼することが重要。中庭を中心とした間取りは、一見シンプルに見えるかもしれませんが、採光・通風の確保、外壁面積の増加によるコストや断熱性への配慮、さらには排水や防水といった細部に至るまで、専門的な知識と経験が求められます。
コートハウス特有の課題を熟知している施工会社であれば、デザイン性と機能性の両立が図れて、安心して家づくりを任せられ、暮らし始めてからの快適さを見据えた、長期的な視点での提案が受けられる点も大きなメリット。
