カテゴリ:建築関連 / 投稿日付:2025/06/22 17:00
軒下 ライブバージョン
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☆軒とは?
軒とは、建物の外壁から屋根が張り出した部分。屋根の部分だけでなく、その下の空間を含めて軒と呼ぶのが一般的。
★軒の出・軒下・軒先・軒天(軒裏)の違いは?

◆軒の出
軒のなかでも外に張り出している屋根の長さのことを、軒の出といい、外壁の柱の中心から先端までを計測しますが、屋根の傾斜に沿うのではなく水平距離で測る。
◆軒下
屋根の下部から床までの空間を、軒下といい、雨宿りできるスペースが軒下であると考えると分かりやすいかも。
◆軒先
軒先は、屋根の突き出ている部分の先端のこと。軒先には、屋根に降った雨水を流すための設備である雨樋(あまどい)のほか、装飾がほどこされることも。
◆軒天(軒裏)
軒天とは、屋根の突き出ている部分の下部、軒下で見上げたときに見える部分のこと。上から見下ろした場合は軒裏と呼ぶこともありますが、軒天も軒裏もほぼ同義。
★屋根や庇(ひさし)との違いは

上記の図のように屋根の一部分、あるいはそれによって作られる空間全体を軒と呼ぶ。
庇は屋根とは全く別物で、窓やドアの上部に独立して作られるものを指し、雨よけになるという意味では軒と似た役割を担っていますが、全く異なるものである。
◆軒の長さの平均は?
軒の出の長さは、60cm〜90cmにすることが多い。軒の出が1m以上になると建築面積に含まれてしまうため。軒の出が60cmほどあれば、それなりに雨よけの役割を果たし、日差しの量をある程度、調節でき、軒の出が長いほど建築コストが上がる点も、90cm以内の軒の出が人気である。
☆軒があるメリット
◆天候による外壁の劣化を防ぐ
軒には、外壁の劣化を防ぐというメリット。外壁が劣化する最大の要因は日光、紫外線が強く当たることで、外壁の塗膜が劣化して表面が剥がれ、剥がれれば見た目が悪くなるのはもちろんのこと、家の中にも影響がおよぶ。雨風なども外壁の劣化を進行させる要因。軒があればある程度の紫外線、そして雨風をしのげるため外壁が長持ち。
◆日差しや雨が室内に入らないよう防ぐ
日光を浴びることで劣化するのは、外壁だけではなく、室内の床も家具も、紫外線は劣化の原因。軒があれば、室内に注ぐ日差しを一定量しのげるため、室内にとってもメリット。室内の温度が上がりにくくなるため、特に夏は冷房費が少なく済むでしょう。雨も室内に入りにくくなるため、梅雨の時期でも空気の入れ替えをおこなうことも可能。
◆軒下に置いたものが雨ざらしにならないよう防ぐ
軒があると、軒下に置いたものが雨ざらしになりにくくなり、庭先に出るためのサンダルが濡れにくいと、雨上がりで洗濯を干しに出るときも不快な思いをせずに済むでしょう。軒が広ければ、子どもの自転車を置いても濡れにくくサビの原因を防ぐことも。
◆縁側を作ることができる
1.5mほどの軒があれば、縁側やウッドデッキを作った際の快適性が上がり、縁側へ出ても直射日光が当たらず、暑い日も心地よい風に吹かれながらのんびりできます。
☆最近トレンドの軒ゼロ住宅ってどうなの?

◆軒ゼロ住宅のメリット
〇狭小地でも十分な広さの家を建てることができる
家の広さを十分に確保できる。軒の出が1mを超えると建築面積に含まれてしまい土地が狭い場合は特に軒を出すほど家が狭くなってしまい、軒がなければ家そのものを建築制限ギリギリまで広げられます。
〇コストを抑えることができる
軒をゼロにすると、軒分の屋根材や軒裏の設置費用を抑えられるため、それ分のコストを抑えることができる。
〇現代風でおしゃれな外観になる
スタイリッシュな外観になるという点も、軒ゼロの住宅が人気である理由。キュービックな形状の家の場合、軒がないと直線の美しさが際立ち、特に都市部では周囲の雰囲気に。
〇耐震性が高まる
住宅は、一般的に屋根が軽いほど耐震性が高まるため、軒ゼロ住宅にするというのは耐震性を高める手段のひとつ。
〇日当たりがよくなる
軒がないと採光性が上がります。よって日のあまり当たらない家は、軒をなくすとそれだけ家の中を明るくできる。
◆軒ゼロ住宅のデメリット
〇外壁が劣化しやすくなる
軒があれば、外壁が雨や紫外線の影響をある程度、受けにくくなりますが、軒ゼロ住宅は日差しや雨風がダイレクトに当たるため、外壁の劣化のスピードが早まり、特に劣化しやすいのは、外壁の継ぎ目に使われるシーリング材です。軒あり住宅よりも早いペースでメンテナンスをおこなう必要。
〇雨漏りしやすくなる
軒ゼロ住宅は、軒のある家に比べて雨漏りしやすいといわれて、軒がないと屋根の端から雨水が外壁へ流れるのに加え、外壁に直接当たる雨の量が多いため。シーリング材や窓サッシ、ドアの隙間から室内へ、雨水が侵入しやすい。
〇雨や日光が室内に入りやすくなる
特に日差しは、居室空間を明るくしてくれるという利点がある一方、限度を超えると家具が焼けたり、家電が壊れたりする恐れもあり、紫外線は窓ガラスをすり抜けるため室内にいてもシミの原因となる可能性。
軒なし住宅では雨天時に窓を開けることができず、換気が不十分だと、室内ににおいや湿気が溜まりやすくなる。
〇冷暖房が効きにくくなる
軒なし住宅では日光が室内に入りやすいため居室空間が暖まりやすく、特に夏には冷房が効きにくくなり、冬も軒がないことで外壁全体に冷たい風が当たるため、壁自体が冷えやすくなり暖房が効きにくくなることもある。冷暖房が効きにくいというのは、光熱費がかさむことを意味しますので、コスト面でのデメリットも。
〇室外設備が劣化しやすくなる
軒がないと、室外設備が完全に雨風、降雪地帯であれば雪にさらされ、これらはいずれも室外設備の劣化を。エアコンの室外機なども壊れやすくなり、買い換えのペースが上がるかもしれないです。