カテゴリ:建築関連 / 投稿日付:2025/06/20 18:00
犬走り ライブバージョン
☆犬走りとは?

犬走りとは、建物と土の地面との間に設けられる、家を囲う外構部分に当たる細い通路を指します。その名のとおり、犬が通り抜けられる程度の限られたスペースとなるのが一般的です。ちなみに古来の日本のお城では、お堀との間に石垣の周りを囲うように犬走りが設置されており、地盤強化や見回り時の通り道としての役割がありました。
以降は、主に木造建築において、建物を補強する意味合いで取り入れられていました。なお現在では、犬走りの幅は1m弱にするケースが多く、目安としては40cm~60cmほど。エアコンの室外機を置いて、少し余裕があるイメージです。
☆犬走りの役割は?
◆雨や泥で外壁が汚れるのを防ぐ
特にかつて日本家屋では、漆喰や土など、汚れが落ちにくい材質を使った外壁が多く見られ、屋根から滴ってくる雨水を受け止めて流す雨どいも、設置していないのが基本でした。
汚れが落ちにくい外壁で、なおかつ雨水が地面にそのまま落ちて土や泥が飛び跳ねると、建物の見た目も悪くなってしまい、家の周囲に犬走りを設けることで、土や泥の飛び跳ねを防ぐことができ、外壁の美観が維持しやすくなる効果。現在の住宅では、汚れが比較的落としやすい材質を使った外壁が多く、雨どいがあるのも一般的に。犬走りがあることで、土汚れや泥はねから建物を守り、外壁もきれいに保ちやすくなります。
◆水はけがよくなり歩きやすくなる
雨が降って土の地面に水が溜まってしまうと、しばらくの間は乾かずにジメジメしてしまい、雨水で濡れた泥になった地面は歩きづらいですし、靴の底が汚れることで玄関が泥だらけになることも。
水分を含んだままの状態が続いてしまうと、湿気から建物の構造部分が傷んでしまうケースも。そこで水はけのいい材質の犬走りを設けることで、悪天候時にも歩きやすい通路になったり、雨水を蒸発しやすくできたりする効果が。生活動線や建物の維持管理の意味でも、犬走りがあると有効。
◆雑草が生えるのを防ぎ美観が保てる
雑草が生えやすい土の部分に、犬走りのような通路を設けることで、建物の周囲をきれいに保ちやすくなるのもメリット。犬走りは、土の地面の上から、コンクリートなどの材質を被せるように設置し、土の部分をカバーして覆うような形になることから、雑草が生えづらくなる効果。犬走りによって雑草が生えるのを防ぐことで、わざわざ草むしりをしなくても、家の美観を維持しやすくなり、お手入れの労力を省きやすくなるのも、犬走りの利点。
◆窓から虫が入りづらくなる
犬走りによって雑草が生えにくくなれば、虫が寄りづらくなる効果もあり、雑草のたくさん生えた、暗くジメジメとした草むらは、虫にとっては絶好の住処です。犬走りがないことで、草むらが家の周囲にできてしまうと、虫が集まりやすく窓から部屋に侵入してくる可能性も。犬走りによって、雑草がなく水はけのいい環境にしておけば、家のなかでイヤな害虫を発見せずにすむメリットも。
◆防犯対策にもなる
砂利を敷いた犬走りにしておけば、踏んだ時に音がなるため、不法侵入を防ぐ対策に。歩いた時の足音が響きやすいため、仮に不審者が近寄ってきた場合にも、素早く気付きやすくなる効果。また足音が鳴りやすいことから、不審者や犯罪者にとっては侵入がしづらく、防犯に直結しやすい利点。
◆デザイン性を高めることができる
犬走りに使用する材質を少し工夫すれば、おしゃれな外観の演出にも使えるメリット。家の雰囲気に合わせて、タイル・レンガ・石材・ウッドチップなどの材質を活用し、好みのスタイルにデザインするのも可能。建物の見た目と犬走りのテイストを統一しておくと、よりハイセンスな仕上がりになります。
☆犬走りの主な材質とメリット・デメリット
◆コンクリート
コンクリートの犬走りは、メッシュ状の鉄筋や型枠を地面に敷いて、そこに流し込むように設置するのが一般的。コンクリートを使用すれば、基本的には表面に凹凸のない犬走りを設けることが可能。コンクリート材が固まる前に、模様や装飾などのデザインを加えることで、おしゃれな印象を演出できる一面も。
★メリット・デメリット
コンクリートの犬走りによるメリットは、デコボコのない通路にしやすく、歩きやすくできる点。引っかかる部分をなくしやすい材質のため、ベビーカーや車いすなどの車輪を使うものでも、比較的スムーズに通りやすくできるのも利点。また凹凸がない分、汚れも溜まりにくく掃除も簡単で、コンクリートを敷き詰めることで雑草も生えにくくなります。
コンクリートの場合は、施工が難しく、基本的には工事会社に依頼して設置する必要があり、ひび割れ時の補修なども外部の手を借りることになるため、DIYが難しいのもデメリット。足音が鳴りにくい分、防犯対策としての効果も低くなりやすい傾向。
◆玉砂利
玉砂利の犬走りは、土に敷くだけで比較的手軽に設置しやすく、幅の調整や材質の入れ換えなどもしやすい特徴。コンクリートに比べると、かなりデコボコした通路にはなりますが、こうした玉砂利ならではの利点も。
★メリット・デメリット
玉砂利の場合、施工が比較的難しくないことから、DIYがしやすいメリット。玉砂利の犬走りにしておくと、歩いた時の足音が鳴りやすいので、防犯対策としての効果も高い。
コンクリートのように敷き詰めるわけではなく、玉砂利同士のすき間もできやすいことから、下の土から雑草が生えてきてしまうケースも。防草シートなどを敷いておかないと、結局は雑草のお手入れの手間がかかってしまう可能性も。凹凸ができやすい分、汚れが溜まりやすく、掃除がしにくいデメリットも。
◆タイル
タイルの犬走りは、使用する形状やデザイン次第で、洋風にも和風にもテイストを合わせやすいのが特徴です。さまざまなタイプのタイルがあるので、選び方によって個性を演出しやすく、見た目にもこだわりたい場合におすすめ。なおタイルの犬走りでは、次のようなメリット・デメリットが想定されます。
メリット・デメリット
犬走りにタイルを使うメリットは、素材を工夫して、外観をおしゃれにデザインできる点です。一般的なスクエア型だけでなく、ランダムな形状や色味のタイルを用いることで、個性的な雰囲気を出しやすい魅力があります。またコンクリートと似たようなイメージで、雑草が生えにくくお手入れも手間もかかりづらいのも利点です。
ただしタイルの犬走りは、基本的にはコンクリートを敷いたうえから施工していくため、費用がかかりやすくDIYも難しい一面があります。コンクリートと同様に、修理などのメンテナンスも、施工会社に依頼する必要が出てきます。
◆レンガ
レンガの犬走りは、どちらかといえば洋風なイメージに、洋館風やモダンな外観に合わせやすい特徴。タイルと同じく、使用する形状や色味の工夫次第で、デザイン性を高めやすい一面も。
★メリット・デメリット
レンガの犬走りでは、スタイリッシュで都会的な外観にしやすく、あか抜けたデザインにこだわりやすいのがメリット。レンガ本体の見た目を工夫して、センス感を演出しやすい利点。コンクリートやタイルと同じように、きれいに敷き詰めて設置できれば表面の凹凸も抑えることができ、雑草防止などお手入れの手間も軽減しやすい。
レンガを使用する場合も、きちんと安定させるために、タイルと同様にコンクリートを敷いてから設置するのが一般的。レンガ本体に厚みがあるため、タイルの犬走りよりも、下地のコンクリートは薄めになり、コンクリート+レンガの2段階が発生するため、いずれにしても施工には手間がかかりやすい点には注意が必要。
◆ウッドチップ
ウッドチップの犬走りは、玉砂利と似たようなイメージで、土に敷くだけで比較的施工がしやすい特徴。他の種類に比べて、日差しを吸収しやすく、夏場の反射光や熱のこもりなどを防ぎやすい材質。木目調ならではのナチュラルな雰囲気が作りやすい一面もあります。
★メリット・デメリット
ウッドチップは、デコボコはしやすいものの感触がやわらかく、比較的歩きやすいのが利点。施工に手間がかかりにくいため、DIYがしやすいのもメリット。
玉砂利と同様に、すき間ができやすいため雑草が生えやすく、防草シートなどの事前対策が必要。掃除がしにくく、草むしりなどのお手入れが発生する可能性、メンテナンスには負担がかかりやすい。ウッドチップの軽い材質から、風などで飛ばされて敷いている量が徐々に少なくなるケースもあり、こまめに補充して維持しなければならないのもデメリット。