カテゴリ:不動産お役立ち情報 / 投稿日付:2025/05/27 18:00
地震に強い家を作る! ライブバージョン
☆地震に強い家を建てる必要性
◆今は地震に強くないと建てられない
建築基準法では地震に対する建物の強度基準、いわゆる耐震基準が定められており、この基準に適合した設計でなければ家を建てることができない。耐震基準は1950年にはじめて定められ、地震の度に見直されて、1978年の宮城県沖地震をきっかけに大幅に見直された1981年の改正が、ほぼ現在の耐震基準となっている。81年の改正前の基準を旧耐震基準、以降を新耐震基準と呼ぶ。これから家を建てようとする場合は、新耐震基準に適合しなければならない。
新耐震基準では、震度5程度の地震でほとんど損傷せず、震度6強~7程度の地震でも崩壊、倒壊しないレベルの耐震性が求められ、さらに阪神淡路大震災を受けて2000年に、木造住宅については地盤に応じた基礎の設計や、構造材の接合部の金具取り付け、耐力壁の適切な配置など新耐震基準をより強化する対応が義務付けられた。
耐震性能を高めればその分コストがかかり、建築費用は高くなる。どこまで耐震性能を求めるか、費用はどれくらいかかるのか、といった事前の検討が大切。耐震というと家の耐震性ばかり気にする人も多いのだが、実は耐震を高めるポイントは「住宅の構造」「地盤」「住宅の基礎」の3つがあります。
☆地震に強い住宅の構造
家の耐震性を高めるには主に以下の3つの方法。コストは一般的に耐震構造<制振構造<免震構造の順。
1、揺れに耐える_耐震構造
2、揺れを吸収する_制振構造
3、揺れを伝えない_免震構造
◆耐震構造とは
耐震構造とは柱や梁、主要な壁、基礎など、建物自体を頑丈にして、地震の揺れに耐える住宅構造。多くの一戸建て住宅ではこの構造が採用。
柱と柱の間に、筋交いと呼ばれる補強材などの入った耐力壁で建物の揺れを抑える。このように建物の構造材によって地震に耐え、抵抗できるように設計した構造を指す。
◆制振構造とは
制振構造とは建物の壁の中などに、揺れを吸収する装置を組み込んだ住宅構造。主に3~5階建てのマンションなどで採用されることが多いほか、制振装置をオプションで用意する一戸建てもある。
家の耐震性をしっかり確保。さらに壁の中に備えた装置が建物の揺れを吸収することで、建物の損傷も防止。
◆免震構造とは
免震構造とは、建物と土台の間に備えられた装置が地震の揺れを吸収して、揺れを直接建物に伝えないようにする住宅構造。一戸建てでは少ないが、マンションで最近よく採用されている方法。
建物と基礎が直接固定されないよう、その間に免震装置をとりつけ、建物の揺れを大幅に低減。
☆地震に強い地盤とは
◆地盤調査と改良が必要
耐震性を高めるにはしっかりした地盤も重要。せっかく耐震性の高い家を建てても、地盤が緩ければ地震の揺れを家に伝えやすくなるどころか、沈み込んで家が傾いてしまう可能性も。まずは家を建てる土地がどのような地盤か調査を行い、必要に応じて地盤を改良しなければならない。2000年に木造住宅については地盤に応じた基礎の設計が義務付けられた。
地盤調査では地面の強度がどれくらいあるのかを調査。費用の目安は一般的な簡易な方法で約5万円。3階建てなど重量のある家を建てる場合はマンションで採用される地盤調査方法を使って行うこともある。この場合、費用の目安は25万円~35万円。
地盤改良が不要であれば、当然その費用をかけずにすむ。以前は沼地だったところを埋め立てた土地を避けるなど、土地を購入する前に土地の情報を収集することをおすすめ。
◆地盤改良は方法によって費用が異なる
地盤調査を受けて、必要に応じて地盤の改良を行う方法は3つ。
●表層改良工法
深さ2mほど土を掘りながら軟弱地盤の上にセメント系固化剤を混ぜ合わせることで地盤を強固にする方法。費用の目安は床面積20坪くらいの場合で約50万円。
●柱状改良方法
表層改良工法で強度を出すのが難しい地盤の場合、簡単にいうとコンクリートの柱を何本も注入して地盤を強固に。家を建てる敷地に碁盤の目のように規則正しく柱を注入していく。一戸建てはもちろん、自重の重いビルやマンションなどで多く用いられる工法。
費用の目安は床面積20坪くらいの場合で約100万円。注入する深さに費用は比例する。
●鋼管抗工法
柱状改良工法と同じ要領で、コンクリートの柱の代わりに鋼管を使用する。費用も柱状改良工法とほぼ同じ。
☆地震に強い住宅の基礎とは
家の基礎(土台)は2種類ある
家の耐震性を高めるには建物を載せる基礎(土台)が重要。住宅の基礎には「ベタ基礎」と「布基礎」の2種類があり、それぞれのメリットと注意点。
●ベタ基礎
立ち上がっている部分と床一面を、鉄筋を入れたコンクリートで一体化して、大きな面で家の重みを支える。
面で建物を支えるので、荷重を分散できるため軟弱地盤で建物自体が重い場合に採用。
一方で、布基礎に比べてコンクリートと鉄筋の使用量が多くなり、多少コストがかかる。
●布基礎
地面から立ち上がる部分で建物を支える。床もコンクリートに覆われるため一見ベタ基礎と同じように見えるが、床には鉄筋は入らず、厚さもベタ基礎と比べて薄くなる。ベタ基礎が面で建物を支えるのに対して、布基礎は点で支える構造。
地盤が良好であれば布基礎で十分耐震性を確保。
耐震性を高めるには費用もかかる。地盤や地域性など、何が適切なのか建築会社などと相談しながらどのような耐震性のある家にするか検討。