カテゴリ:不動産お役立ち情報 / 投稿日付:2025/05/11 17:00
ZEHとは ライブバージョン
「ZEH(ゼッチ:ネット・ゼロ・エネルギーハウス)」とは、住宅で使う一次エネルギー(電気に変換される前の石炭や天然ガスなどのエネルギー資源)の年間消費量が、おおむねゼロの住宅のこと。
実際に一次エネルギーをまったく消費していないのではなく、断熱性能と省エネ性能を高めて消費量を減らしつつ、創エネ性能を高めて再生可能エネルギーを生み出し、それらを合わせることで消費量が実質ゼロ以下になっている住宅になります。

簡単に言えば、省エネ住宅の仲間で、「ZEH」と呼ばれるには厳しい基準をクリアする必要があり、省エネ住宅の最上位モデルといえるでしょう。ZEHは「エネルギー消費量が実質ゼロ以下」の住宅であり、「光熱費がゼロ以下」の住宅のことではない点に注意が必要。光熱費がゼロになるとは限りませんが、大幅に光熱費を抑えられ、場合によっては黒字化させることもできます。
「ZEH」は、2008年ごろから、アメリカで「新しい省エネの形」として注目され、日本でも政府が2014年の第4次エネルギー基本計画で「2020年までに標準的な新築住宅で、2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現を目指す」と打ち出しました。2018年の第5次エネルギー基本計画では、「2020年までにハウスメーカー等が新築する注文戸建住宅の半数以上で、2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現を目指す」と、より具体的な目標が掲げられました。
資源エネルギー庁によれば、2020年にハウスメーカーが新築した注文戸建住宅のうち、約56%が「ZEH」となっています。
☆ZEHの基準
「ZEH」として認められるためには、国が寒冷地や温暖地などの地域に応じて定めている強化外皮基準を満たし(※)基準一次エネルギー消費量から20%以上の消費量を削減することが最低限求められています。
※強化外皮基準を満たすとは……
国内を1~8に区分して設定している地域の省エネルギー基準を満たし、住宅の内部から床、外壁、屋根、開口部などを通過して外部へ逃げる熱量を外皮全体で平均した値であるUA値(外皮平均熱貫流率)を以下の値にする必要
● 1・2地域:0.4[W/m2K]以下
● 3地域:0.5[W/m2K] 以下
● 4~7地域:0.6[W/m2K]以下
これに再生可能エネルギーの導入や基準一次エネルギー消費量から削減したエネルギー消費量に応じて、「ZEH」の種類が区分。
☆ZEHの種類
「ZEH」は、エネルギー消費量の削減割合などに応じて複数の種類がある。戸建て住宅に使われる「ZEH」、集合住宅に使われる「ZEH-M」が基本、戸建て住宅に焦点を絞って紹介。
戸建て住宅で用意されている種類は、「ZEH」のほか、「ZEH +(ゼッチ プラス)」「Nearly ZEH(ニアリー ゼッチ)」「Nearly ZEH +(ニアリー ゼッチ プラス)」「ZEH Oriented(ゼッチ オリエンテッド)」の四つです。
ZEHの種類 | 要件 | |
---|---|---|
一次エネルギーの消費量の削減率 | その他 | |
ZEH | ・断熱 + 省エネで20%以上 ・創エネを含めて100%以上 | |
①ZEH + | ・断熱 + 省エネで25%以上 ・創エネを含めて100%以上 | 外皮性能のさらなる強化など一定の条件をクリアしている |
②Nearly ZEH | ・断熱 + 省エネで20%以上 ・創エネを含めて75%以上100%未満 | 寒冷地や低日射地域など、創エネが十分にできない地域が対象 |
③Nearly ZEH + | ・断熱 + 省エネで25%以上 ・創エネを含めて75%以上100%未満 | ・寒冷地や低日射地域など、創エネが十分にできない地域が対象 ・外皮性能のさらなる強化など一定の条件をクリアしている |
④ZEH Oriented | ・断熱 + 省エネで20%以上 | 都市部など土地が狭く創エネが十分にできない地域が対象 |
※上記に加えて、LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅という種類もあり、ZEHが住宅運用時のエネルギー消費量の収支をゼロにするのに対し、LCCM住宅とは、住宅の建築時・運用時・廃棄時の二酸化炭素(CO2)排出の収支をゼロにする住宅のこと。
①ZEH +
「ZEH +」とは、「ZEH」の最上位モデル。
「ZEH」は、断熱 + 省エネで20%以上の一次エネルギー消費量を削減し、太陽光発電など再生可能エネルギーによる創エネ設備を導入し、100%以上の一次エネルギー消費量を削減した住宅に与えられるもの。
「ZEH +」は、断熱 + 省エネで25%以上の一次エネルギー消費量を削減し、太陽光発電など再生可能エネルギーによる創エネ設備を導入し、100%以上の一次エネルギー消費量の削減をしていることに加え、以下の項目のうち、2項目以上クリアした住宅に与えられるもの。
● 外皮性能のさらなる強化(外皮平均熱貫流率0.3~0.5[W/m2K])
● 住宅エネルギーマネジメントシステム(HEMS)で住宅内の冷暖房、給湯システムを制御する
● 電気自動車への充電設備を設置し、電気自動車でさらなる省エネを行う
②Nearly ZEH
「Nearly ZEH」とは、太陽光発電などによる創エネが十分にできない寒冷地や日照率が低い地域、降雪量が多い地域を対象としたもの。
断熱 + 省エネで20%以上の一次エネルギー消費量を削減し、太陽光発電など再生可能エネルギーによる創エネ設備を導入し、75%以上100%未満の一次エネルギー消費量を削減した住宅。
③Nearly ZEH +
「Nearly ZEH +」も、「Nearly ZEH」と同じく、太陽光発電などによる創エネが十分にできない地域を対象。
「Nearly ZEH +」の場合は、断熱 + 省エネで25%以上の一次エネルギー消費量を削減し、太陽光発電など再生可能エネルギーによる創エネ設備を導入し、75%以上100%未満の一次エネルギー消費量を削減していることに加え、以下の項目のうち、2項目以上クリアした住宅に与えられるもの。
● 外皮性能のさらなる強化(外皮平均熱貫流率0.3~0.5[W/m2K])
● 住宅エネルギーマネジメントシステム(HEMS)で住宅内の冷暖房、給湯システムを制御する
● 電気自動車への充電設備を設置し、電気自動車でさらなる省エネを行う
④ZEH Oriented
「ZEH Oriented」とは、都市部など土地が狭く太陽光発電などによる創エネが十分にできない地域を対象とし、断熱 + 省エネで20%以上の一次エネルギー消費量を削減した住宅。
「ZEH」化に向いていない地域でも「ZEH」を指向して作られた住宅を指し、再生可能エネルギーによる発電設備を導入していなくても良い点がポイント。